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ちょっと一言

ヘルマン・ツァップ氏より、特別メッセージ

小林章の欧文タイプ・セミナー2008 フォント質問箱レポート

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■■  ちょっと一言  ■■■

Lino News!へようこそ!

今年90歳を迎えるヘルマン・ツァップ氏の特集です!

まずはライノタイプ社と70年もの間、コラボレーションを続け、

お馴染みのZapfinoをはじめ多くの書体を生み出した巨匠から、

特別メッセージが届いています。

さらに、先月末開催された、小林章さんのタイプ・セミナーの模様も

お届けしていますので、どうぞ最後までお楽しみください!

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■■  ヘルマン・ツァップ氏より、特別メッセージ  ■■■


ライノタイプ社との70年、これは大変長い期間で、普通は誰もそんなに長い間一つの会社に留まったりしないものでしょう。でも私がきっとツイていたのは、私はいつでもフリーランスで、ライノタイプ社の社員ではなかったことです。フランクフルトのステンペルでも、またブルックリンでもそう。おそらく、私は本当によい待遇を受けることができ、唯一議論になったのは、ライノタイプ社が60〜70年代に開発した異なるフォト・タイプセッティングシステムのためにアルファベットに手を加えるときくらいのものでした。
実を言うと、私はタイプデザイナーになりたかったわけではありませんでした。でも、私の父が1933年にドイツの新統治者のおかげで抱えた諸問題のおかげで、私はずっと学びたかった電気工学をニュルンベルク・オーム工業専門学校で学ぶことが許されませんでした。その代わり、私は4年間、ニュルンベルクの印刷所で写真修整の見習いをしなければならず、他に選択肢はありませんでした。
ニュルンベルクで1935年に行われていたルドルフ・コッホの展示会は、私の文字への興味を急速に高めてくれました。私は1930年代当初、美術学校を訪ねることも禁じられていたため、レタリングの書き方を学ぶにはコッホやエドワード・ジョンストンの本に頼らざるを得なかったのです。
「Gilgengart-Fraktur」は、、「オーバーウルゼルの歴史」のために私が初めて独自に手がけたカリグラフィー調のスクリプトデザインでしたが、私はその前にブラック書体のスケッチをしていました。このフォントは1941年の戦時中、全てのブラック書体が禁止されていた関係で浮かばれませんでした、ライノタイプ社の鋳型の鋳造が止まってしまったのです。戦争では私はフランスのある地域で役務についていました。
私は書体制作の全ての技術に取り組んできました。50年代にはクラシカルで手作りの金属活字であり、そしてレーザー写植向けの正確な図版になり、今ではもう長年もわたりコンピュータのデジタル描画まで手がけてきました(こうした全ては私の本、2007年にライノタイプ社とロチェスター工科大学から出版された「アルファベット・ストーリーズ」に詳細にわたって述べられています)。
私の最初の書体である「Gilgengart」、「Palatino&rdquo」や「Optima」を手作業で手がけた有名なパンチカッターであるアウグスト・ローゼンベルガーとのフランクフルトでのコラボレーションと同様、私は幸いにもライノタイプのアキラ・コバヤシ(小林章氏)と協業することができ、「Zapfino」のようなとんでもない書体をデジタル化することができました。そして私は大変幸運なことにまだまだ手の震えもなく、先の細いブラシで1mmサイズの文字さえも描くことができます。
それからライノタイプ社の技術部、マーケティング部の大勢の素晴らしいスタッフたちにも感謝しています。私のフォント界での成功は、彼らのおかげです。彼らは話題に出ることすらありませんが、タイプ・デザインとはいつでもチームワークなのです。
1939年3月19日、アウグスト・ローゼンベルガーあてに描かれた「Gilgengart Fraktur」のオリジナル。大文字Dのバリエーションがともに記されています。
90歳の誕生日を迎えるにあたり、ヘルマン・ツァップ氏より皆さんにメッセージがあります。どのようにしてタイプ・デザインを始めたかを振り返るとともに、70年に渡るライノタイプ社との驚異的な関係について語っています。

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■■  小林章の欧文タイプ・セミナー2008 レポート  ■■■

「欧文フォント質問箱」
ー 参加者がカスタマイズするセミナー

いってまいりました、小林章さんのタイプセミナー!


2008年10月28日(火)、東京・中野にある東京工芸大学のホールには、プロのカリグラファー、デザイナー、学生を含む200名以上がつめかけ大盛況でした。

ゲストには、嘉瑞工房の高岡昌生さん、
アートディレクターの菊地敦己さんと柿木原政弘さんを迎えていました。

冒頭では、小林さんが各国で行っているワークショップ、や参加されたカンファレンスなどのイベントについて、写真をみせながら解説してくれました。それぞれ、国は違えどタイポグラフィーに夢中で熱意ある人々の真剣な顔つきがスクリーンに映し出され、観ている私たちの興味をかりたてます。

盛りだくさんの内容のうち、特に基本の部分、印象的だった部分を抜粋して以下にまとめてみました。

■ タイプ・セミナー 「欧文フォント質問箱」

■ カリグラフィーの実演コーナー>
平筆を使った手の動きを大きなスクリーンに映し出してみせてくれました。参加者も、えんぴつ2本もって構える角度と手の動きを真似し、大文字のA、O、Sなどを実際に手元に書いてみました。
左から右への動きが描きやすいので、Sの字も一筆で書かず、まず真ん中の軸を描き、その後で上下に左から右へと手を動かして描きます。こうした基本を知ることで、各文字のうち、どこが太く、どこが細くなるのが自然なのかを覚えることができます。

 Trajanを、分解して解説。 

◎カリグラフィーと、書体制作の違い
カリグラフィーでは、既に次に来る文字が決まっていますが、書体制作では、どのような順番で文字が並ぶかわかりません。ですから、どんな字の並びが来ても対応できるように、と考えているそうです(これは、対象者や目的があらかじめ想定された「ロゴ制作」とも共通しているようです)。

■ フォント質問箱☆>
事前に寄せられた質問はなんと150通!
中でも複数質問のあった項目を10のカテゴリーに分け、ゆうに1時間以上もかけて回答してくれました。主なものを紹介していきたいと思います。

▽基本を知りたい!
お薦めの本について
ローマ字印刷研究 紀田順一郎セレクション(HANCOレアブックス)

さらに、小林さんの「欧文書体」、「欧文書体2」の巻末には、役立つ参考文献のリストがあります。英語の書籍が多いので、タイプを勉強するにはやはり語学が出来た方がいい、とも。
欧文書体

欧文書体2

▽手書き文字について
国によって、同じ文字でも筆記体の形状がずいぶん異なっていました!
これを研究して、各国別の手書き文字をあらかたとりこんだ書体制作をしている方もいるそうです。

 各国の手書き文字を紹介。

▽日本で欧文書体を学ぶ上で注意することは?
日本語訳された文献では、表現が著者の意図と異なる場合があるので、できれば原書と照らし合わせて検証することを習慣づけるとよい!

▽フォントの使い方は?
・どんな年代の、誰が読むのか?・・・読む人の状況を想定しながら選ぶこと。
・書体の良し悪しを語るとき、白と黒とのバランスに注目すると良い。つまり、文字の中の白い空きの部分の形が美しいかどうか?など。

(余談)ヘルベチカの映画がDVDで登場!大変お薦めだそうです。

▽書体制作の将来について
今後は、欧文といってもAからZで終わらず、多言語化していく。
ヒラギノ明朝の欧文部分(従属欧文、という)は小林さんが担当しているが、日本語を使わない海外の方が、従属欧文部分を利用しているケースも増えている。ファンレターをもらったことも!
また、その言語を母国語としない方が文字を勉強していて、ベルギー人がチベット語のフォントを作るなど多様化している。

▽やってはいけない組版の例
ピリオドの後、全角スペースを入れてしまうと、みっともない空きが出来てしまうので望ましくない。
fi、fl など、合字があるのに使わないと、文字同士がぶつかり無様な形になる・・・等。

▽縦方向に欧文を組むときのバランスは?

                       T
                       E
                       L
                       E
                       P
                       H
                       O
                       N
                       E

のように、縦方向にアルファベットを組むことは少なく、あくまで横書き中心。
本の背に書かれるタイトルの組み方で比較すると、ドイツでは横書きにしたものを下から上に、イギリスでは上から下に文字が流れるように組まれることが多いようです。

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ざっと、手元のメモを見ながら書き上げてみました。このほか、ロゴタイプについて、和欧混合についてなど幅広くとりあげられ充実したセミナーとなりました。


後に予定が控えていたため、一番の見所のトークセッションを見逃してしまったのが惜しまれるばかりです。

今後もLino News!では、タイポ関連の情報も提供していきます。よろしくお願い致します!

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■■  国内 月間売れ筋チャート  ■■■

10月

1位

 Helvetica® Font Family

2位

Frutiger Font Family

3位 

Times Font Family 

4位

 DIN 1451 Font Family

5位

 Neue Helvetica® Font Family 

5位 

Univers Font Family

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10月世界ランキング


1位 Neue Helvetica® Font Family  


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