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私が中学校で習った英語の授業では「しばしば」の often を「オフテン」と発音すると減点されましたが、英国では「オフテン」と言っている英国人もたくさんいました。ならば一方に決めつけることもないでしょう。英単語の「城」 caslte を米国式に「キャスル」と発音するか英国式に「カースル」と言うかと同じで、Garamond を「ギャラモンド」と読むか「ガラモンド」と読むかは、どちらが間違いということはありません。
書体名のなかには難しいものがありますから、私の知っている範囲で書いておきます。珍しい名字のデザイナーの名前がついたのは、本人に直接会って聞いているので確実です。ここでは、カタカナの表記の仕方は「Helvetica = ヘルベチカ」式に簡単にしてあります。
(文章・コメント ライノタイプ・ライブラリ社 タイプ・ディクター小林章)
Benguiat, Cochin, Fenice, Gill Sans, Koch Antiqua, Peignot, Quay Sans, Novarese, Veljovic, Walbaun, Weiss
これはITC の昔のカタログには Ben-gat と発音するように書いてありましたが、本人が自分の名字を「ベンギアト」と言っていました。もちろん「ベンガット」でも通用します。
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Nicolas Cochin ニコラ・コシャン
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どちらもジョルジュ・ペイニョがつくった微妙に違う書体です。
18世紀の銅板画家ニコラ・コシャンにちなんでつけられた書体名ですが、コシャンの文字とは関係ないようです。 |
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英国の工芸家エリック・ギルのデザインしたサンセリフ体です。
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ドイツのルドルフ・コッホがデザインした細身のローマン体です。
「Antiqua」はドイツでは「ローマン体」の意味です。 |
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フランスの活字会社デベルニ・エ・ペイニョの社長の名前をつけたのでフランス語読みです。
ポスターで有名なカッサンドルのデザインです。 |
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「波止場」という意味の英単語 quay は「キー」と発音するらしいのですが、これは英国のデザイナーの本人にきいたところ自分の名字は例外的に「クウェイ」と発音すると言っています。
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上の Fenice と並んでイタリアのデザイナーのアルド・ノバレーゼのデザインです。
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